■No.1
静かなクーデター (031F)
携帯電話が突然通じなくなった、と思ったら、クーデター。待ってたわけではないけど、「とうとう」というか、「やっと」というか、あまり感慨がない。
街は軍が制圧してるらしいが、まったく抵抗がないのだろう。とても静かだ。
■No.2
非常事態な日常 (032F)
地元の新聞を読むのが楽しい。クーデター以来、犯罪率が激減したという記事があった。汚職がバサバサと摘発される。悪代官のように振舞ってきた官僚がつぎつぎにクビになる。一般のパキスタン国民は胸のすく思いだろう。各政党は揃ってムシャラフに大きな期待をかけている。「デモクラシーの一刻も早い復帰を」とか、「憲法の回復の早期実現を」とか、各国の声明を見ていると、マニュアル通りにしか喋らないファーストフードレストランのお姉さんを思い出す。いったい、どのデモクラシー、どの憲法に復帰しろといいたいのだろう?
■No.3
欧米では不満の声があがっている (033F)
一般の通行人にインタビューしたのか、学者が言ったのか、政府の公式発言
なのか。言うまでもなく、そんなことを追求してもしょうがないのだ。 これは日本人なら馴染み深い、レトリックの一つなのだから。
■No.4
二つのデッドライン (035F)
ともかく、パキスタンではとんでもない額の借金がいったんは踏み倒されたってことなんですが、これをムシャラフ政権は今、懸命に調べていて、全部
取り返そうとしているわけです。取り返すんですよ、取り返す。やばい銀行に公的資金を注入して救うんじゃなくて。分かりやすいなあ、と僕は思った。
■No.5
共同体との対決 (035F)
Accountability の実現は、先進国でいうほどシンプルな問題ではない。それは、共同体メンタリティとの正面からの対決でもあるのだ。そこに注目すれば、ムシャラフのやろうとしていることに、近代革命(!)としての側面があることに気づくだろう。パキスタンは今やっとこさ、自分達で共同体と対決するという地点に達したと言える。
■臨時号
イスラマバードで同時複数テロ。国連ナン バー車、爆発炎上 (035E)
11月12日、反米・反国連と思われるテロがパキスタンの首都イスラマバード市内で起きた。現場を目撃した僕は、仕事を早めに切り上げ、家に帰ることにする。だが、国連職員が乗る車は、どれも白。ところが、これが思いっきり目立つのだ……。今回の事件を見て思うのは、イスラム世界と国際社会の間のコミュニケーションが決定的に欠けているかぎり、いろいろな事件が今後も起き続けるに違いないということだ。日本の人はウソだと思うだろうが、僕が見る限り、コミュニケーションを拒絶しているのは国際社会の方なのだが。
■No.6
No Win Situation (036F)
オサマ・ビン・ラディンをめぐってのアメリカ(そして国連)のタリバンに対する一連の対応、なかでも国連制裁とそれに対する抗議デモ、国連事務所の襲撃、そしてそれと関連するかもしれないイスラマバードでのテロ、この状況をBBCは、No
Win Situation と表現していた。で、深い分析が続くのかと思ったが、看板倒れで中身はほとんどなかった。しかし、この看板だけ使わせても
らおう。
■No.7
クーデターを起こしたのは誰か? (037F)
最近、ナワズ・シャリフ前首相の裁判が始まり、そこでの証言を読むことができるようになった。また、パキスタンのジャーナリスト達も記者魂を発揮し、10月12日ムシャラフと同じフライトに乗り合わせた乗客の話
などを取材して、だんだんと輪郭がはっきりしてきた。そして、ムシャラフ自身も11月3日になって、初めて自分で機中での状況を記者達に話した。これらを
総合して、10月12日、いったい何が起こったのかを再構成してみると以下のようになった。
■No.8
パラダイス・ロスト (039F)
数ヶ月ぶりに飲んだビールがすぐにまわってきた。広場にいくつか作られた野外ステージでタイの若者が何か歌っている。ありふれた風景にありふれた音楽が流れ、その中でありふれた若者達が酒を飲みエビを食べ喋くりまくっている。この一瞬の価値の大きさを考えると気が遠くなりそうだ。
■No.9
イラクからの手紙 (043F)
新大阪から乗ったタクシーの中で、僕はバグダッドに駐在する国連職員の友人が送ってきた手紙の文面を思い出していた。イラクでは子供たちが栄養失調で毎月6000人死んでいるという。タクシーの窓から平和そのもののビル群を見ながら、僕はバクダッドの街並みを想像しようとした。確かに、それは冗談なんかじゃないのだ。
■No.10
息子の時代 (133F)