小説の味わいをもつアフガンのテキストである。読み終わると暫くは放心状態になり、ぼんやりしてしまう。ほんの数年前のアフガ二スタンの社会とはこんな風だったのか・・・・知らなかった・・・・。言葉もない、とはこのことだ。
本にするつもりで書いたわけではないという。止むに止まれぬ思いがパソコンのキーを叩き続けた。国連難民高等弁務官など人道支援の仕事でパキスタンとアフガニスタンを行き来し、ここ10年アフガンに深く関った。個性的な文体や構成は著者の文学的体質のせいか、必ずしも解りやすいとも言い切れないが、ならば「刊行に寄せて」で坂本龍一が書いているように「山本さんの本を読もう」である。何度も何度も読み返せばいい。底が見えない程、中身は濃く深い。いささか体力の要る本ではあるが、絶望的ともいえる現在の、この世界と、その理由が少し見えるようになる。
CNNの記者に「国際社会はアフガンに何をすることができるでしょうか。」と聞かれ、「私は君の側にいる、ということを示すことができます」と著者は答える。それを本当に示すために、破壊されても、破壊されても、静かにガレキの山を片付け続ける普通の人々、決して諦めない普通の人々の側に行って、一緒にガレキを拾い、哀しみを共有し、できることなら、著書のいう、そういう人々の中にしか存在しないという「希望」を、見つけたい。