クエッタからイランの国境へ向けて、東から西へ一直線に走っているように見える道がある。何時間ドライブしても一直線は続いていた。フロントガラスから見える風景は常に地平線で二つに区切られていた。
何百か何千か分からない数の竜巻が、ほんとに無数の竜巻が視界いっぱいに満ちているところがあった、と言っても誰も信じてくれないのだが。
砂と石だけの風景が突然水で満ち地平線が水平線に変わってしまったこともあった。蜃気楼だと言われても信じられなかった。どうしても水面が広がっているようにしか見えなかった。
茶色い風景が、黒い石、黒い砂に覆われた黒い風景に変わることもあった。そして、突然、何もかも赤の世界になることもあった。
家も歩いている人もまったく現れない道を何時間もドライブしながら、僕は三蔵法師の旅を想像しようとしていた。
クエッタの夕日