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ひょっとして、世界はとてつもない人材不足なのではないだろうか。世界中どこ
もかしこも、失業者だらけなのは、よ−く分かってる。それでも、人材不足なのだ。クエッタの失業率は、正確な統計などないけど、50%以上だと言われている。それでも、まともな電気技師、自動車修理工、電話技師、そういう技術者はおろか、コピ−をちゃんととったり、書類にパンチで2穴を正確に中央にあけられる人間がほとんどいない。
ひんまがって、端の見えないコピ−や、デタラメに穴の開けられた書類を眺めて、僕はためいきをつく。ああ、日本のOLは偉大だったなあ。ちゃんと全文が読めるように、コピ−を撮ってくれるOLが日本には、少なく見積もっても二千万人はいただろう。男子社員はもう少し劣っていたけど、それでも10人に6人はコピ−撮りの隠れた名手であった。ファイル用の2穴を開けても全文が読めるように配慮して、コピ−を撮ってくれるOLだって、少なくとも千八百万人はいたと思う。日本のOLは世界一優秀だ。皮肉もなにもない。本気でつくづくそう思ってる。誰も教えなくても、「勝手に、考えて、する」、という性質か、文化か、何か知らないが、とにかくそういう能力が日本人にはあるのだ。
「紙を二つに折って、折り目を中心に穴を開ければいいんだ」
「分厚いから二つに折れなかったんです」(プハアアアア〜〜)
「一番上の紙だけ、折ればいいんだよ」
なんて会話を毎日交わしてるなんて、日本人に信じられるかなあ。
「出張費は?」
「もう銀行が閉まってるから」
「そんなこと分かってるよ。だから、朝、頼んだんだ」
「頼まれたのが遅かったから」
「10時が遅いのか、銀行が閉まるのは1時じゃないか。出張が知らされたのは今日の10時だぞ。」
「別の用事もあったし、それに出金の認可のサインをする人が、一人足りなくて」
「じゃあ、手遅れになる前にオレのところに言いにこいよ!出張は明日だぞ!どうなるか分からないのか?!頭を使えよ!頭を!脳味噌ないのか!何のためにオレは出張費要請書にサインしたんだ!」
もう、この辺で僕は完全に切れて、叫んでしまっている。
「認可のサインをする人がいなかったから・・・・・」
「いなかったから、できない、それでほったらかしか!今ごろ、のこのこやって
来たって遅すぎるんだよ!無理なら、銀行が開いてる時間に言いに来いよ!そうしたら、何とでもなるだろ!」
「サインする人がいなかったから・・・・・・」
「もう、いい!帰れっ!ギャオ−!」
これを絶叫という。初めの頃は僕もこんなふうではなかった。しかし、同じよう
なことが毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、毎日、繰り返されて、僕はこうなってしまった。
日本の会社で、こんなこと起り得るだろうか。こんなバカいるだろうか。想像で
きない。このバカ男の上司である事務長に電話して、説明を求めると、
「アッ、お金ね、今、僕、キャッシュたくさん持ってるから、なんなら貸すよ」
何、云ってるんだ、この男は。アホか。部下がバカなら、上司はアホであった。
「そういうことではなくて、こういう時どうするべきかをちゃんと確認しておい
て欲しいのです」
「いやあ、無理だよ、それ。彼らにそんなに期待しちゃいけないよ。ねっ、分か
るでしょ。無理なんだよ。お金貸すから、ねっ、待ってるからね」
・・・・・・・・・アホ。
念のため書いておくけど、もちろん僕は別ル−トでちょうど出張費相当分のお金を自分の口座から引きおろす手配をしてあった。僕のアホ対策。
難しい理屈は何も必要ない。世界は、お金だけでなくて、日本文化の曲芸的(世界にとっては)オフィスワ−クさえ必要としている。世界の人には信じられないだろう。若くて、ろくでもない、酔っ払いの、倫理の欠片もなさそうな、子供のような日本人がゴロゴロといて、そして彼らがちゃんと仕事をすればいかに優秀であるかということを。日本経済なんかどうでもいいじゃないか。お金のあるうちにバンバン使って使い切ればいい。ボコボコと若い日本人を日本政府のお金で世界へほりだせばいい。不効率極まりない、くだらない国連の手続きに従う必要なんて毛頭ない。どんどん、出せばいいのだ。「ここで仕事させていただきます」とひとこと言って、やってしまえば誰も文句は言わない。見せつければいいのだ。いかに国際公務員が愚鈍で不効率な仕事をして世界のお金を浪費しているかを。それぐらいしておけば、日本経済がいよいよダメになった時、少しくらい助けてくれる国が出てくるかもしれない。今は、日本の窮状をみんな喜んでいる。僕は、国連職員が全員日本人だったら、国連の予算は半分で今とまったく同じ仕事を出来ると完璧に確信している。
日本の新しい首相には、「日本人国際社会垂れ流し推進本部」を設立していただきたい。小池ユリ子さんには本部長になっていただく。そうすると、僕は小池ユリ子さんとお茶を飲みながら垂れ流し実行方法について検討する機会が2回くらいあるかもしれないじゃないか。ウ−−−ン。実にいいではないか。夢想。
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